遠藤誠建築設計事務所 MAKOTO ENDO ARCHITECTS

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MAKOTO ENDO
ARCHITECTS

カーン建築ツアー <前のページ 次のページ>

イエールアートギャラリー 三角錐の立体スラブ

イエールアートギャラリー 突出すスラブがつくる影

ソーク研究所 残念ながら曇天…

キンベル美術館 言わずと知れたトップライト

キンベル美術館 エントラスキャノピー下にて

2008年3月24日~4月2日、4月7日~10日

【イエールアートギャラリー 1953 ニューヘブン】
遅咲きのカーンの出世作。イエール大学を中心としたニューヘブンの街は衰退化しているように見えましたが、この一角だけには活力があり、それは有名建築が立ち並ぶこの街でこれが一番という答えであるように思いました。素材や形態、構成、その全てが上品で、過剰なディテールだと思っていた三角錐の天井も、過不足の無い演出で非常に好感が持てます。

【ソーク研究所 1965 サンディエゴ近郊 ラホヤ】
訪れた日はあいにくの曇り空、期待した青い空のもとでの見学とはいきませんでした。施設は非常にオープンで、中庭はもちろん、ガラス張りの各研究室直前まで自由に入ることができます。それにしても生物医学系研究所という具体的な用途なのに、その空間は神殿と言ってもいいような印象。

【キンベル美術館 1972 フォートワース】
いわずと知れたカーンの代表作。近代建築の中でも最も評価の高い作品と言えるでしょう。我が恩師、近江栄も最も感動した建築としてこの作品を挙げていたことが思い出されます。前評判から少し構えすぎていたせいもあると思いますが、その空間は予想以上に気高く、パンテオンやロマネスク様式の教会で体感するイメージ?

今回の旅行でいくつかのカーンの作品を見て、他のモダニズムの建築家とは根本的なところで違う気がしました。空間の持つ「強さ」が桁違いで、それは自分だけが持っているルール(正方形、サーブド・サーバントスペース、ふたつの素材だけで空間を構成など)があってのことなのだと思いました。ドキュメント映画「マイ・アーキテクト」の中で、カーンについてインタビューされたI・M・ペイは「幾百の凡作を造っても、たった一つでも傑作を造った建築家には負ける。歴史に残るのは後者の建築家なのだから」と言っていました。応用力と順応性が建築を浅はかなものにするという意味?
 
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