遠藤誠建築設計事務所 MAKOTO ENDO ARCHITECTS

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MAKOTO ENDO
ARCHITECTS

アアルト建築ツアー <前のページ 次のページ>

マイレア邸外観 異素材のコンポジション

マイレア邸 プール越しに望む

サユナッツァロ村役場 中庭越しに見える議場

サユナッツァロ村役場 議場への階段に差し込む光

コッコネン邸にて 座る私

2008年7月29日~8月14日

【マイレア邸 1938 ノーマルック】
アカマツ林の中の一本道を進むと木々の間にマイレア邸が見えてきます。メインエントランスから中に入ると林立する柱、その向こうに中庭の光が映えます。思ったより天井は高くシークエンスは緩やか。細部に目を移すといたるところで実験的な試みを施しており、アアルトのこの住宅にかける意欲が十分伝わります。玄人好みというイメージが強く、より成熟した空間を予想していましたが、どちらかといえばルーズな印象もあり(結果的にはそれが息苦しさを低減させる意味で成功していますが)発展途上という印象。しかしそれもそのはずでこの住宅の完成時、アアルトはまだ30代でした。

【サユナッツァロの村役場 1952 サユナッツァロ】
戦後のアアルトの出発点となった建築で、この作品で彼の建築言語は確固たるものとなりました。現地を訪れて特に感銘を受けたのは、大階段で中庭と外部をつなげるという構成と、高くそびえる議場へのアプローチが外部からも視覚化されていること。「開かれた行政」などという言葉を使わずともこの建築がそれを体現しています。実際この建物は非常に大切に使われている様子で、この村のシンボルとして長く愛され続けていることがよく分かります。幸いこの建物内のゲストルームに宿泊できることになり、朝、昼、晩と多様な表情も体感することができました。早朝の赤レンガに映る木々の影が非常に印象に残っています。

アアルトの建築に共通しているのは何故かそのデザインの全てがごく自然で、そこに馴染んでしまっていること。これは他の北欧の建築(最近はそうでないものもあるようですが)にも共通すると思いますが、作品が目立つことをあえて避けているようにも感じられ、そこにはアノニマスなデザインを良しとするような北欧の高い文化がその下地にあるように思われます。(現在の中国都市部やドバイの建築デザインの状況とは対照的!)
 
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