コラム-2008.11.05 藤森照信

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2008年11月5日
「2008.10.01下記4人の建築レポート」のまとめのところで藤森照信の建築について言及(どちらかというと否定的な意味で)しているのですが、実は現物を見たことが無かったので、「それはちょっと反則?」ということで、静岡県にある藤森さん設計のふたつの美術館を見に行ってきました。
【秋野不矩美術館 1998 浜松市 藤森照信+内田祥士】(>リンク)
外壁の荒々しいテクスチャーが快晴の空によく映えます。秋野不矩さんの絵と空間の相性も非常に良く、丘の上にぽつんと建って街を見下ろす立地条件もあり、ここだけにしかない時間が刻まれているような印象を受けました。
【ねむの木こども美術館 2006 掛川市 藤森照信+内田祥士】(>リンク)
山道を進むと崖の向こうになんとも言えない曲線の屋根が頭を覗かせます。内部も柔らかい空間で優しさに満ちていて、これまたねむの木学園のこともたちの絵にふさわしい。他の藤森建築が「ガザッ」とした手触りであるのに対し、これは「ヌルッ」という感じ。
藤森ワールドは温かく、優しく、ユーモラスで、予想以上に心地の良い空間体験であり、このような建築に対するスタンスは今現在の建築界では非常に有効であると思いました。ただ、同じような素朴な材料を用いていても、柳宗悦、宗理の民藝運動や日常の美というのとは(美術館という非日常用途であることを差し引いても)似て非なるものであるとも思いましたが・・・。

秋野不矩美術館外観1秋野不矩美術館秋野不矩美術館外観2秋野不矩美術館内観1秋野不矩美術館内観2ねむの木こども美術館外観ねむの木こども美術館内観
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